<モーターの回転について>
<図1> モーターのロータが時計回りに回転しているとき
各線の太さの違い(太線・細線)は、コイルが直列・並列になることにより流れる電流量の目安です。
  @ 整流子1・2の間の溝が       A 整流子1・2の間の溝が       B 整流子1・2の間の溝が    
  右のブラシに到達する寸前     右のブラシに到達した瞬間     右のブラシから離れた瞬間  
 
 
 
 
 
 
           
           
           
           
           
           
           
           
                                                                             
  <電流の流れ>               <電流の流れ>     <電流の流れ>  
  ・左〜3〜C〜A〜2〜右     ・左〜3〜C〜1〜右     ・左〜3〜C〜1〜右  
  ・左〜3〜B〜2〜右     ・左〜3〜B〜2〜右     ・左〜3〜B〜A〜1〜右  
  <コイルの極性>          
  ・CとAは直列     整流子1・2共にマイナスに接触し    
  磁石に近いところがN極     コイルAには電流が流れない      
  ・B→磁石に近いところがS極          
      <コイルの極性>     <コイルの極性>  
  左:左のブラシ     ・C→磁石に近いところがN極     ・C→磁石に近いところがN極  
  右:右のブラシ     ・B→磁石に近いところがS極     ・BとAは直列  
  1:整流子1         磁石に近いところがS極  
  2:整流子2          
  3:整流子3          
  A:コイルA          
  B:コイルB          
      C:コイルC                                                              
  C 整流子2・3の間の溝が       D 整流子2・3の間の溝が       E 整流子2・3の間の溝が    
  左のブラシに到達する寸前     左のブラシに到達した瞬間     左のブラシから離れた瞬間  
 
 
 
 
 
 
           
           
           
           
           
           
           
           
                                                                             
  <電流の流れ>               <電流の流れ>     <電流の流れ>  
  ・左〜3〜C〜1〜右     ・左〜3〜C〜1〜右     ・左〜2〜B〜C〜1〜右  
  ・左〜3〜B〜A〜1〜右     ・左〜2〜A〜1〜右     ・左〜2〜A〜1〜右  
           
      整流子2・3共にプラスに接触し      
      コイルBには電流が流れない      
           
  <コイルの極性>     <コイルの極性>     <コイルの極性>  
  ・C→磁石に近いところがN極     ・C→磁石に近いところがN極     ・BとCは直列  
  ・BとAは直列     ・A→磁石に近いところがS極     磁石に近いところがN極  
  磁石に近いところがS極         ・A→磁石に近いところがS極  
                                                                             
<電圧のつり合い>
電源電圧と(負荷に見合った電流×抵抗)と誘導起電力がうまくつり合うところでモーター回転数が決まります。
無負荷に近い状態ではトルクは0   Ia = 0 ➡ e = V
(実際は軸と軸受け間の摩擦、整流子とブラシ間の摩擦、回転子コアと界磁間の吸引力等への仕事を含む)
<実測結果>
<モーター内発電がどのように起きるか考察>
モーター内の3つのコイルには
電池から電流が送られることで電磁石となり、
電池ケース内の磁石(界磁)と反応をして
回転します。
ところが回転することにより、
右図(図4)のように電磁誘導が発生し
誘導起電力が発生し誘導電流が流れます。
モーター内で発生する誘導電流の向きは、
電池から送られる電流とは逆向きになります。
図2のeとIaの向きが逆向きになっているのと同じです。
具体的に図1の@の状態で見てみると
それぞれのコイルは、電池ケース内の磁石に
近付いたり離れたりすることで、
緑色の矢印の向きの誘導電流が流れます。
この誘導電流の大きさは
コイルの巻き数や、磁石からの距離等により
変わりますが、
モーターの場合は回転速度により大きく変わります。
モーターの回転速度が速いほど、
誘導電流(緑色の電流)は大きくなります。
<コイルが図5の位置にある場合の電流の流れ方>
@ モーターの始動時
(モーター内発電分e=0のとき)
A 無負荷状態で回転を始め、
一定速度に安定した時
(回転が速くeも大きい)
B @とAを差し引きした結果
<モーター回転による2種類の電磁誘導>
モーターが回転すると2種類の電磁誘導が発生します。
(A) 上で書いた発電による電磁誘導
(B) 図7のように、
コイルの電流は常に増減を繰り返していますが
その電流変化による「自己誘導起電力」
この「自己誘導起電力」
コイルに磁気エネルギーを蓄えることで発生します。
(A)と(B)の大きな違いは、(A)は磁石が必要   (B)は磁石は不要です。
しかし、どちらも電磁誘導「磁束が変動する環境下に存在する導体に電位差(電圧)が生じる現象」です。
(A) モーターケース内の磁石による磁束の変化
V=-N・Δφ/Δt
(B) コイルの電流を増減させるとコイル内(自ら)の磁束も変化
V=-L・ΔI/Δt
L・I=N・φを代入すると同じ式になります。
(A)・(B) 共、モーターの回転数が速いほどΔtが小さくなるため、発生する誘導起電力は大きくなります。